パニック障害になってわかること

私がパニック障害と診断されたのは約1年半前です。

症状はある日突然でした。高速道路を運転中、徐々に首が絞めつけられ呼吸が出来なくなり「やばい!ここで意識を失っては」と思ったものの、めまいと吐き気も始まり何とか呼吸法だけを意識して高速道路を降りてすぐに近場で停車しました。この時は残暑の9月。出勤前にジョギングをしていたせいもあって「熱中症だな」くらいに思いその後はしばらく忘れていました。そして年末、仕事で長いトンネルを運転中に2度目の発作が来ました。最初の発作よりも強烈で一気に首は絞めつけられ呼吸困難、めまいも来ました。この長いトンネルはどこまで続くのか?車を止めるスペースも無くどんどん焦りと苦しさの持続が限界に近いレベルでした。それでも車の窓を全開にし呼吸法だけを頼りにぎりぎりで出ることが出来ました。身体の勉強をしてきた自分にとってはとてもショックな事でした。2度目の発作でようやくこれはパニック障害だと気づきました。それからすぐに心療内科を受診しようと何件も電話をしましたが、どこの心療内科も現在は満員状態で20代以下しか診れないという病院もありました。(現在、精神疾患は成人も多い状態ですが未成年者がとても多いという現実)やっとみつけた診療内科の先生からパニック障害と診断されやっと「ほっとした」というのが正直な気持ちでした。心療内科の先生には自分が鍼灸師である事をお伝えし診断をしていただきました。また未熟ながらも脳内の勉強をしてきたものとして色々と質問をさせていただき非常に勉強になりました。それと並行して私がお世話になっている自律神経調整に特化した鍼灸師の先生に通い治療をしていただきました。同じ鍼灸師で自分では治療できないの?と思われるかたも居ると思います。筋肉の損傷や自律神経を整える事は自分でも治療出来ます。しかし自律神経を失調しての精神疾患は不思議ですが他人の手による治療でないと効果がありません。2つの並行治療によって約1年でパニック障害は落ち着きました。でもパニック障害と診断されたら完治をすることは現在の医療ではありません。この疾患とは一生お付き合いをしていかなければなりません。

このパニック障害の認知は、最近著名人が発表をされるようになってどんどん広まっていますが以前は仮病扱いされることも多々あるほど認知度の低い疾患でした。2010年に長嶋一茂さんが書いた「乗るのが怖い 私のパニック障害克服法」が世間に知られる大きなきっかけになったようです。その後はKinKi Kidsの堂本剛さんも発表されこの疾患への理解に貢献されています。最近ですと6月、総合格闘家で3階級王者の武尊選手がパニック障害とうつ病と診断、発表されています。パニック障害の名前は仕事がら当然知っていました。セロトニン研究で著名な有田秀穂先生の著書や東洋医学では密接な瞑想や禅、呼吸法などにも関心があった私は実践もしていました。鬱病の原因で中脳から分泌されるセロトニン、最近では脳内よりも腸から分泌されるセロトニン量は多く腸脳相関という言葉は、ヨーグルト食品などにも登場するほどメジャーな言葉になりました。同じく中脳の黒質から、神経伝達物質ドパミンが何らかの原因で産生されないとパーキンソン病になりやすいとも言われています。ではパニック障害は?脳幹からもう一つ、集中させることや緊張感を持続させるノルアドレナリンという物質が抑制されないことと、対象的に穏やかにさせるセロトニンの分泌量バランスが崩れてしまい調整が効かない状態がパニック発作を起こします。パニック障害の症状は各人、様々です。前記の症状ほか、死にたい、無気力、電車や飛行機などにも乗れない等多々です。私が治療に携っている患者さんもどれほど苦しいか、ご本人にしかわからない相当の辛さと苦しさだと思います。パニック障害の理解を少しでも知ってもらえたら幸いと思い微力ながら書いた次第です。

 

 

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